淡路島を縦断しての徳島往復も終え天然温泉の銭湯で汗を洗い流すと、大塚国際美術館の感動と満足が心地よい余韻となって旅の興奮を鎮めてくれた。
お風呂屋さんを出れば秋の空は美しい雲のカタチと色を湛え、下がり始めた気温の風がボクの上気したカオに「早くビールが飲みたいんだろ?」と心遣いをしてくれているようでもあった。
な〜んてカッテというか都合よく解釈してはいたが、とにかく冷たいビールをグイッ♪と飲みたかっただけなのである。この日は今年の神戸サミット最後のヨルとなるのでGがボクと札幌のKのために美味しい串焼のお店を予約してくれてあって、ハラも減ったしノドは乾いているし早くお楽しみ突入に与かろうと自然に早足になってしまう卑しき旅人なのだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
JR兵庫駅にほど近い『食楽為徳』さんは御主人の創作串焼が人気のお店らしいが、お高くとまったハイソ系ではなく庶民の味方テキ格安料金でも評判なのだそうだ。
この日Gが「ゼッタイにコレ!」といって注文してくれたのは“為徳勝手コース:炭火焼8本と小鉢・キャベツ付きで1人¥1000”という他の地域では考えられないセットコースなのだ。
三人で注文したのだが、それぞれ違う小鉢を作ってはテーブルに運んできてくれるという気の利かせ方がニクい。そして串焼でネロネロしてしまうクチをさっぱりさせる為の“ちぎり生キャベツ”が必ずセットに組み込んである…というのもスバラシイのだ。
コレはセットではなくオプションで注文した“水なす・もろみ”。昨年のサミットでGから教えてもらって以来ボクはこの泉州水ナスというものにすっかりヤラれてしまった。その水ナスがメニューにあるからには頼まずには居られなかったのよー
札幌のKに聞くとトーゼンのように「経験はない」と言うので早速お試し頂いたワケだが、ただ塩モミをして甘いモロミをつけて食べるだけのナスなのに、この瑞々しさはいったいナニなんだろう。サックリ柔らかい皮とシルクのように滑らかでジューシイな身… 思わずもう一つ!と追加を試みたが、既に売り切れていて無念。
やはり美味しいモノはみなさんよくご存じのようである。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
8種類運ばれてくる串焼はドレも非常に良く出来ていて大変に美味しい。御主人の丁寧な仕事ぶりと研究熱心さが結実した串焼はとてもこのお値段で提供されるものとは信じられないクオリティーの高さなのだ。
本当はそのすべてをココでご紹介したいのだが、ボクの独断と偏見で上位3串焼を選んでみた。って、こういうものに順位をつけるって邪道だと思うし、スキではないのよボクは…
第1位『セロリの豚バラ肉巻』
恐れ入りました…この食感のコンビネーションと旨みバランス、最高です
第2位『コンニャクの香味焼』
いや〜参りましたね…目をつぶって食べさせられたら、誰もコンニャクとは思わないんじゃないかなぁ
第3位『ベーコン巻トッポギ』
いや〜ん♪…ありそでなかったこの串焼
ビールのプリン体の件は記憶から消去した
アトから合流したU夫妻も同じセットを注文したのだが、ボクたちと一本も同じ串焼が来なかったのには驚いた。
そしてワイン好きが集まってしまったので当然のごとく赤を飲もうというハナシになり空けること2本。
ビールは中生を各自2杯づつ飲んでオプションも数品…お会計は一人¥3000余か〜
とてつもなくリーズナブルなダイニングバーなのである。
◆楽食為徳
http://www.yaya.co.jp/tametoku.htm
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
学生のコロや社会人になりたての時代はよく“喫茶店のモーニング”を食べたものだ。地方都市では中心部ばかりでなく郊外にも喫茶店が建ち、そうした朝食やお昼のセットなどの軽食がもてはやされたトキもあったが、やがてファミレスと呼ばれるチェーン飲食店の隆盛と共に多くは消え去りこうした食事は“懐かしい”部類に入るようになってしまった。
神戸で過ごした5日間で朝食は4回、そのうち3回をこの「芳寿茶房」で頂くコトになった。ベーコンエッグ、ポテトサラダ、新鮮な千切りサラダには手作りのドレッシング、底部のミミを裁ち落したトースト…なにもかもがアノ時代のつつましくコンチネンタルなテイストが引き継がれている。
コーヒーもマシンで抽出したものではなく、一杯ずつサイフォンで落とす…という儀式のようなセオリーが綿々と守られ、こんな時代になっても「このフンイキ」が欲しくてたまらない固定客をしっかり引き止めているのだ。
やたらに“禁煙”などといった不細工なおせっかいがないトコロも素晴らしく、スモーカーのボクにはこの上なく心地よい空間なのである。
毎朝美味しい食事をごちそうさまでした。
◆芳寿茶房
兵庫県神戸市兵庫区三川口町1丁目4−1
TEL:078-652-1033
日曜定休
◆夜はPUB「Houju」として
美味しいお酒やおつまみが楽しめるお店となっています
◎本日の日記の写真は全て携帯で撮影したものです
画像の質がイマイチでお許し願います…