札幌の友人Kが朝採りのアスパラをどっさり送ってくれた。わざわざニセコの留寿都(るすつ)村までメガーヌを飛ばしては予約を入れてきてくれた北海道の旬である。
キャプテンウルトラに登場する“シュピーゲル号”は真ヨコから見れば一本の棒のようにも見えてホワイトアスパラ(シュパーゲル)をイメージさせるが、上面から見ると銀色屋根瓦スタイルでドイツ語で“鏡”の意であるシュピーゲルの名はソコに由来するのだなぁと納得した。近隣某テロ国家からの飛来物はゴメンだが、平和の使者シュピーゲル号や美味しいシュパーゲルなら大歓迎だ。
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ナニより新鮮さがイノチの野菜、ボクもメガーヌで早速スーパーに走っては食材を買い足して下準備に取りかかった昨日の夕方である。
ずいぶん沢山あるので数回に分けなければとても食べ切れる量ではない。先ず一番最初はフレッシュな香りを楽しむためにシンプルな調理でキメようではないか。
あまり強い味にならないように茹でる焼くといった工夫はてっとり早いイタリアンが有利で最右翼はパスタ料理だろう。グリーンアスパラはサッと下茹でしてハカマ掃除など施し、ちょっと珍しいショートパスタに合わせるコトにした。フィジッリと云えば“らせん”を意味するイタリア語でフツーはもっと平たい斜め螺旋のパスタが一般テキだ。コレはちょうど太めのスパゲッティーをクルクルとさせたような形状で、ついついビヨ〜ンと延ばしてみたくなる衝動に駆られるが、しっかりとした食感がソース絡みのよいカタチと口の中でもちもちプリプリする楽しさも手伝って非常に美味しい。本来はブッタネスカのようなソースが最適なのだろうがシュパーゲルの手前、ペペロンチーノを選択しては生ハムをトッピングしてみたのね。
甘くて香りのよいグリーンアスパラ、う〜む最高だ♪ シャキッとした歯ごたえもフィジッリと奏でるハーモニーの強弱となって面白いではないか。生ハムの旨みがアスパラの野生を包みソレを追いかけるようなフィジッリのオブリガード…今この時しか聴けない貴重な音楽のようである。
シュパーゲルは茹で汁の中でそのまま冷ますと美味しいのは昨年知ったテクニックだ。今年はひと工夫して茹で汁にコンブとコンソメキューブを入れてみた。時間とともにギュッとシミ込んでゆく旨みは静かに静かに待っては美しい旋律となって目の前に現れる。
マヨネーズにレッドオニオンのコンカッセと若干の香辛料を混ぜトッピングソースに。シュパーゲルの優しい香りをソースのピリリとした刺激がポリリズムのようなアクセントを生み出し、予定調和のヴォイシングとは趣を異にするアウトコード。そんなJAZZのような躍動感に、スパークリング白ワインの香気が光の泡粒のようにちりばめられては漂う夜景を思わせてくれた。
北海道の友人と静かな乾杯を交わした夜なのである。