竜爪街道の紫陽花

友人のブログに紫陽花のフォトがいくつか掲載されているのを拝見して「あぁ、今年は紫陽花を撮っていなかったな…」と少々慌てたボクである。考えてもみればピークの6月はとうに終わり、やがて梅雨明け待ちともなる7月に入ってからソレに着手するなんぞ大アマちゃんもいいところだし、ズボラがバレバレなのである。

そうは言っても一旦こうと思ってしまったからにはなんとか一枚くらいはカメラに収めないと気が済まないので、え〜い!とばかりに静岡市近郊の山間部方面に向かってみた。
通称「竜爪街道 」正式には“ 静岡県道201号平山草薙停車場線 ”で静岡市清水区のJR草薙駅から葵区平山までを結ぶ8.6キロの道だ。清水港と駿府城を結ぶ北街道とクロスしていてソコに位置する瀬名地区からは東海自然歩道の竜爪山(りゅうそうざん=標高1,051m)へ続く谷筋道となり、静かな山間の村という雰囲気に包まれているのである。
やがて清水の折戸湾に注ぐ巴川の支流である長尾川に沿って北上するこの街道沿いには名所とまではゆかずとも数多くの紫陽花が自生していて、もう少し早ければ見事な姿を愛でるコトができたのであろうが、やはりと云うべきか哀れな姿の紫陽花しか残っておらず落胆&焦燥感に苛まれる土曜日の午前中なのであった。
ようやく道沿いの低い石垣の上に咲く紫陽花を見つけなんとかカッコはついたが、こんな状態の良い花がまだ残っていたのは幸運だったと思うのよ。数枚シャッターを切ってふとヨコを見ると何やら看板が出ている。

農家の作業小屋のような建物入口に三段ボックスや冷蔵ショウケースが並べられソコで食品を無人販売しているようだ。近づいてみるとソレはこの地区特産のシイタケや乾燥ドクダミなのであった。
冷蔵庫の中には“ おやき ”のようなものも入っている。どれどれ…とよ〜くみるとソレは手造りのキンツバなのであった。おぉ〜コレは美味そうではないか!
早速キンツバを4ケとシイタケを1パック購入する。冷蔵庫には貼り紙がしてあって「みんな100円です」と静岡あさひテレビのメモ帳にマジックで記入されていた。脇には塩化ビニールパイプがニョッキリ突き立っていて、ソレにも同じメモ帳に「お金入れ」と書かれたものがセロテープで止められていた。う〜む、観光客や一般のヒトなどはほとんど訪れるコトのない地域ならではの仕業、スバラシき相互信頼カンケーなのだな。ボクも正直に五点分総額の五百円をパイプに投入してきた。

この日冷蔵庫の中にはキンツバしか入っていなかったが、その時期その時期の旬の山菜などが入れられることもあるのではないか…と想像する。タケノコを茹でたものだったりフキの醤油煮だったり、あるいはコンニャクを使ったお惣菜などもあるかも知れない。
さっそくそのキンツバを一つ食してみた。不揃いな外見はいかにも手造りという温かみを感じさせるが、パクリと喰いつくとヨモギを少々練り込んだ皮にはわずかに生姜の香りも漂ってくる。コレがなかなかにいいカンジなのだ。
そして粒々をゼツミョ〜に残した小豆餡の美味しさといったら♪ まだ昼メシ前なのに次々と喰ってしまった。う〜ん少しヤバいかな、山歩きでもしてカロリー消費でもすればオッケーなのかも知れないがそんな気はもーとーナイので困ったものである。
たい焼など部活の範疇であれば食品断面の様子もフォトにしたりもするのが常である。しかしムシャムシャ喰ってしまってソレどころではなかったのだね、まぁキンツバですから。
採りたて新鮮なシイタケと共に価値ある100円に満足なのであった。しまった、お茶を持ってくればよかったなぁ…と思ったのは、この周辺に飲料の自動販売機と云うモノを見かけないのであって、家屋などの風景が自然と馴染んでいるのはそんなせいもあるのだからベツにそれでいいのだ。必要なヒトは家から持参すればいいだけのハナシなのである。
この地区は緑茶とシイタケの栽培が主な産業のようで、行き止まりに近い山奥まで進んでも目に見えるものは茶畑とシイタケ栽培の建物やホダ木の木組みだけなのである。静かないい風景なのであった。


地図




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