揚げ物の魔力というものはどうにも抑制し難い欲求を増大させたり触発したりするのであって、例えば買い物に行って街をプラプラ歩いているときにふと食堂の換気扇からフライの匂いが漂ってきてハッとその方向を凝視してしまったりするのである。
“名代とんかつ”などと掲げられた看板とその下にあるガラスケースに収まったロースかつ定食のサンプルや大きなエビフライにタルタルソースが添えられている様子などをメにしてしまうと、もう大切なシゴトのことはすっかりうち忘れてしまってココロは揚げ物一色に染まってしまうのである。
そしてジツに甘美な妄想の世界に入り込んでゆくのだな。カウンターに座ったボクは「とりあえずビンビールね」とオシボリとお茶を持ってきた店員に注文して… そう、この場合はジョッキの生ビールではなく必ずビンビールでなくてはならない。グラスだって小ジャレたデザインのものなどはフンイキぶち壊しなのであって、ビールメーカーのロゴが白い文字で印刷されている小ぶりなあのストレートタイプでなくてはならない。グラスは小さいからいい状態に泡立ててやるとビールの実質量は100ml程度にしかならないがそれでいっこうに構わない、とにかくグイッと流し込みプハ〜ッとやるのだ。そして間髪を入れずに泡だけがまだ残るグラスに次のひとくちを注ぐのである。
この一連の動作をスムースに行うためには左手にグラスを、右手にはビールビンを持ったまま次のステップに進まなければならない。見ようによっては「こいつはアル中か?」ともとれるかも知れないが、な〜に何と思われようと知ったこっちゃね〜んだな、揚げ物欲求にコーフンして頭に血が昇った状態を鎮めるためにはもう一杯ビールを流し込む必要があるからだ。
ようやく儀式も終りおもむろに小さなお品書をテにしてアレコレと迷うのである。王道はロースかつだが、たまにゃヒレかつって変則テキ注文で脳ミソを驚かせるのも悪くない。しかしココでボクはふと過去に読んだ本の一節を思い出したりしてしまうのである。それは先日執り行われた秋の叙勲で旭日小綬章を授与された東海林さだお氏がビールに合う肴のベスト1に『串かつ』を挙げていたことなのね。その本を読みながらボクは激しく同意した記憶がある。枝豆とか柿ピーなど豆系の執拗な猛追にもかかわらず『串かつ』は堂々の王座に輝くのであった。
氏の推挙理由は忘れてしまったがスボラなエロおやぢ的解釈でもってすると、先ず左手にビールグラス・右手に串かつの竹串部分を持ったまま目的が遂行出来るという安易な喫食スタイルが嬉しい。そしてコロモ面積が大きいので揚げ物テキ香気発散率が高いのが欲求の初期モクテキ解消に寄与する。そしてそのコロモの面積は「吸ソース率」の高さも見逃せないポイントで、特にスパイシーなウスターソースのベチャがけという反則ワザに見事に対応してくれるのもラブリイなのよね。
トドメはそのお値段である。たいてい一番安い。ロースやヒレはカットしてコロモつけて揚げるだけなのに『串かつ』は他のヤサイと組み合わせたり串打ちしたり、そしてコロモつけするときだって凹凸が多いのでけっこーテマヒマかかるにも拘わらず、その金銭テキ価値が低く設定され過ぎているような気がする。ジツに不当な評価ではないか、ボクが『串かつ』なら差別撤廃要求をしてストライキを画策するだろう…ってくらいお得な料理なのだな。
そんな愛すべき『串かつ』なのよ、早くビョーキが治ってくれてこいつでビールを飲りてーなあ…とみょ〜な妄想から現実に立ち返った。相棒がコーラってのは侘しい。
今朝の富士山
ってより空模様か…
5:59AM, November 10. 2011. @Fujinomiya-City
かぶちゃん
ソレは“串かつ”じゃなくて世間一般では“串揚げ”ってやつね(´▽`*)アハハ
こんばんわ! つぼソースにじゃぼんと漬けて喰うアレでしょ? やっぱり札幌は都会だよなあ、そーゆー大阪風の食文化もスパッと取り入れる。静岡はとてもコンサバだからね、なかなかナカマに入れてもらえないのよ(笑)
神戸にもあるとは思うけど、来年は「十三探訪」だからね!確実に“串揚げ”もあるってもんさ♪ そういえば神戸・新開地の商店街の食堂で串揚げ8本つきの定食が¥500であったっけな〜
う〜様
やった〜!今度のオプショナルツアーは串揚げ屋ハシゴだヽ(´∀`)ノ
おはようございます! それぞれにソースの味が違うってところが素晴らしいですね♪ コシをおろすと立ち去り難くなるので、出来れば“立ち飲み屋”ライクなところがいいのでしょうか…
ときに吉田類さんの「酒場放浪記」って観たことあります? BS-TBSで放映してましてね、なかなかディープな飲み歩き番組でとてもインスパイアされるでやんす。このブログのサイドバーにバナーを貼ってありますよ〜(*^−')ノ