でらうみゃ~でかなわんわ(16)

常滑やきもの散歩道

日本遺産「常滑焼」


■■ 常滑目指して三河湾から伊勢湾へ

半田では運河を見たりお寺に参拝したり、赤レンガの歴史遺産を見学したり…そしてとびきり美味しい『味噌煮込みうどん』をいただいてとても満足な時間を過ごしたのだけれど、欲張りなエロおやぢは「せっかく知多半島まで来たんだからさ…」と午後も名所見物ヤル気マンマンなのである。

そこで三河湾半田から知多半島を横断し伊勢湾の常滑まで走るわけだ。
常滑と云えば何と言っても日本遺産に認定された伝統工芸品「常滑焼」なのである。一番有名なのは急須だけれども、それ以外にも身近にある製品が意外に多いのだな。
例えばコンクリートや樹脂製品が発達していなかった戦後のインフラ整備期には土管、衛生陶器(つまり便器や薬品壺ね)、それからタイルとか酒瓶、食器の鉢類がある。はは~ん、なるほどですな
そしてもうひとつ重要な製品に「招き猫」ってものがありまして、二頭身のふっくらした体つきで小判を抱えたアレですな…常滑系って呼ばれているらしいですよ、知りませんでしたねえ。現地でそのことを知り、土産にちっこいやつでも買って帰ろうと思っていたのですが、アッサリ忘れてました。困ったもんです。

カーナビゲーションの導くままにキャプチャー君を走らせればけっこーアッという間に常滑に着いてしまった。距離にしたら20km程度なのかな、思っていたより早くて驚きました。
そしてテキトーに駐車場を探すわけなのですが、陶磁器会館というところが観光駐車場業務もやってまして、ソコに一回¥500で入庫するわけです。ちょっと高くないですか?無料にしろとは言いませんけど、土産などけっこー高価なものを買うわけですからね、もうちょっと何とかしていただきたいものです。
まあ¥500も払ったんですからね、堂々とパンフレットなどいただいて早速”やきもの散歩道”へ歩みを進めるわけですな。途中の道すがら常滑市の市花である山茶花がたくさん咲いておりまして、半田市にいた午前中はあんなに青空だったのに常滑に着いたとたんに暗~い曇天になってしまったのを、なんとか明るいフンイキに持ってゆこうと懸命に咲いているかのようでした。

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名鉄常滑駅の南東は小高い丘陵になっていて、そこに昭和の初期に陶芸家たちが集まり窯を築いたわけです。現在も工場やその煙突と窯・工場などが遺されてはいるけれど、時代と共に使われなくなった歴史的な産業として遺産価値が見出されているわけですね。
平成19年3月に「美しい日本の歴史的風土準100選」として選定されたそうです。


■■ だんご茶屋で一服

現在でも多くの作家や職人がここで活動し居住しているわけなのであって、単なる歴史民俗資料館テキな街ではなく、今もアートの拠点として生きているわけです。ですからカッテにその居住スペースに侵入したり大サワギするなどの行為は慎まなければなりません。

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それにしても急な坂が多く、ちょっと歩いただけでけっこーキますね。軟弱者としてはスグに休憩などしたくもなるのでして、都合の宜しいことに途中で「だんご茶屋」という焼だんごやアイスを扱う茶屋があるので、もうソッコーで入りました。
シンプルな醤油焼だんごは美味しいものでしたけれど、茶の一杯も出したらどーですか?と店のジジババに言いたかったなあ。一本¥90なんですけどね、¥120くらいとっても構わないから、お茶をつけて愛想もよくしてくれたらもっとよかったかな~なんて。

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Ernst Leitz  Elmar 3.5/50  @ SONY α7

さて、この「やきもの散歩道」のハイライトとも言うべき”土管坂”です。盛り土の法面にびっしり補強積された土管や甕、そして路盤の滑り止めにも焼き物が使われています。見事な風景ですね、常滑を象徴する一角です。


■■ 記念のひと品

そしてその先に国指定重要有形民俗文化財である10本煙突の「登窯」や個人のギャラリーがいくつかあるわけです。ボクはその中のひとつの「ギャラリー とこなべ」さんに入ってみました。

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フォトはその展示スペースのほんの一部ですが、建物の一階と二階は全てこんな感じで多数の作家作品が置かれ、そのまま販売もされているわけです。ボクはかねてより欲しかった有名作家の上質な常滑焼急須をひとつ購入しました。二度焼して黒変させた逸品です。普段使いにはいささか高価過ぎたかなあ…なんて思ったりもしたけれど、まあ毎日ココロ豊かに過ごせるのならソレもいいんじゃない?ってことでさ。

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Ernst Leitz  Elmar 3.5/50  @ SONY α7

ギャラリーが密集するあたりが散歩道のピークになるので、あとはほとんど下り坂、いくらか気楽になりました。途中でタヌキが風呂に入ってまして…ってウソですよ、常滑焼のタヌキって可愛いですね。

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工房や作家さんの住宅をいくつも眺めながらどんどん下ってゆきます。だんだん夕暮れが近づいてきて多少アセるわけですが、いろいろ興味深い風景が沢山あってなかなか歩みを早くすることができません。素晴らしい街並みを愉しんだり、それをフォト撮影したり…なんだか「旅行してるなあ」って実感がありますね、こーゆーのって。


■■ ご褒美をもうひとつ

散歩道を下ると一般道に出ますが、そこにもギャラリーの他に飲食店などが軒を連ねておりまして、その中のひとつに美味しそうなパン屋さんを見つけました。パン工房・風舎さんです。
ナチュラルなパンがたくさんあって、店員さんはそれぞれの加熱法などを詳しく説明してくださいました。そして宿舎に帰ってみるとパンの入った袋は「ありがとう」と書かれたタグで封じてありました。美味しかったのはもちろんですが、その心遣いがとても嬉しく思いましたよ。

この日は久しぶりにとてもよく歩きました。いやいやシゴトではそれ以上歩いてはいるんですけどね、こうしてテメーの趣味というかアソビみたいなものでこれだけ歩くことは滅多にありませんから。
肉体的な疲労はそれほどでもありませんが、ナゴヤ地区に来て初めて遠出したものですから、なんか気苦労というか精神的にちょっと張ってましてねえ、宿舎に帰着するとドッと疲労を感じたものです。
かなり充実した一日でした。とてもたくさんのいい経験をしましたから。セルフ御苦労さん会は購入してきたパンと限定ビールと赤ワインでジッコーです。そしていただいてきたパンフレットを読んでみたり、カメラの画像をチェックしたり、あーでもないこーでもないと思いを巡らすわけですね。半田は或る程度予定を組んで訪れてみたものの、常滑は完全な思いつきだった割りになんだか超ラッキーなショートトリップだったようです。

そんな一日の思い出を映像にしてくれたのは、第二次世界大戦が終了して間もない1946年にドイツで製造されたレンズです。
マニアの間では定番中の定番とか、基本の一本、いちどはテにしたい標準レンズのスタンダード…などと呼ばれ人気のあるレンズなのよね。製造本数が多かったわりに70余年の歳月を経た今は状態の良いものは少なくなりつつあり、そのブランドステータスやらもあって価格は一向に下落しないのは困ったことですが、ボクは運のよいことにかなり格安で佳いものに出会い、ソッコーで落札ゲットしたのはかれこれ一年くらい前のこと。ちょっと驚いているのはその写りの素晴らしさなのよね。もう何を撮影しても絵になってる、日常のつまらないモノでさえパッと撮ればなんだかストーリイが生まれてくるような錯覚に陥るくらいのタマなのだな。
本当はもっとガンガン使いたいんだけど、万一のことを考えるとちょっと怖さがありますねえ、ようやく入手した銘玉だし、同等のクオリティーのものを再びテに入れるのはかなり難しいことが解かってますから。それにしてもドイツの工業技術って当時からスゴかったんだよな…と酔いが回っていいキブンになった脳ミソで考えていたわけだ。

やきもの散歩道|常滑市観光協会



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