■ シンプルさ故の緊張感
たまにはショートパスタも食べたくなるものです。乾物のストッカーにはいくつかの種類が入っておりますけれど、その調理レシピやソースなどについつい拘りたくなってオイソレと手出しできないところがまたちょっと口惜しくもあります。
でもよく考えてみればそう肩肘張ってコダワる必要なんてものはなく、ごくシンプルにショートパスタならではの美味しさを楽しめばいいんじゃないの?ってことですよね。クチの中での弾力などロングにはない食感や豊潤な小麦の香り…あぁこれ程までにパスタを進化させるイタリア人って罪深いじゃないか。
まあペンネはその中で最も馴染み深いと云いますか、ドコのスーパーでも必ず置いてあるほどニッポンに浸透しているショートパスタですよね。国内メーカーでも製造販売しておりますし、輸入食材店にでも行けば本当にドレにするか決めかねるほどのペンネが並んでおります。使いやすいので常時ストックしてありますが、今回はシンプルにベーコンだけをフィーチャーしたトマトソースでいただきます。
ポモドーロはイタリア語でトマトのこと、スペルは Pomodoro 発音はpow-muh-daw-row でカタカナ表記してみるとポォモドーラみたいなカンジでしょうか、やはり英語のトォメィトゥに近い発声ですね。う~ん、でもやっぱり日本語で「とまと」ってのが一番可愛いかな…って本題とカンケーありませんね、元へ。
青森県産ニンニクでガーリックオイルにしてベーコンを軽くソテーします。そこに無調整のトマトピューレを注ぎ込み軽く煮詰めるようにフツフツさせればオッケー、茹で上げペンネをダダっと投入してよ~く絡めれば出来上がりです。仕上げにパセリのコンカッセとパルミジャーノすりおろし、あれば飾りにバジルなど…いたってシンプルなひと皿の出来上がりです。
あぁ美味いですねえ、トマトの旨味と酸味がベーコンの香りにアシストされていい感じです。もちろんチーズや香草類もキラキラとしたアクセサリーのように主人公を引き立てますね。ただこれらは少ないキャストの絶妙なバランスの上に成り立っているものですから、そりゃハンパない緊張感があります。具だくさんかつ複雑なソースのお料理に比べてリハーサルから本番開幕そして終了まで比類のないテンションを保たなければなりません。昨今流行りの上がっただ下がっただのバカ言葉テンションとは全く意味が違いますからね、まあミュージシャンならご理解いただける " テンション " のことです。
それだけに上手くいったときのヨロコビは大きく、プロフェッショナルなお店でこうしたシンプルさを一定の美味しさに保つことの難しさを身を以て知ることになるのですな。
デザートは「カフェ・アフォガード」…と申し上げたいところですが、ごくフツーの「コーヒー・フロート」です。自家製の水出しアイスコーヒーですから深い香りとコクがありますけれど、やっぱりエスプレッソマシーンが欲しいなあ。