■ 秋漁の解禁に合わせて
駿河湾奥に生息する " 桜海老 " はその水揚げ量の激減によって漁獲を自主的に制限しています。年間の二期に分け、三月の終り~六月始め迄の春漁と十月末~12月末に行われる秋漁です。
先日テレビニュースで秋漁の解禁を知り「おっ、その時期がやってきたのね♪」とヨロコビ勇んでスーパーに買い物に出かけました。フツーのスーパーでは売っていない『桜海老のかき揚げ天ぷら』はトナリ町のちょいハイソ系スーパーで販売されているのでありますが、お値段がかな~り張るのがネックでなかなか購入まで至りませんけれども、まあ解禁というお祭りみたいなものですからエイヤとカゴに入れてしまうわけですな。
都合のよろしいことに秋と云えば新蕎麦であります。平素はお気に入りの蕎麦乾麺で過ごしておりますが、やはり旬の出会いと申しましょうか、せっかくの桜海老なのですからここは打ちたての生蕎麦しかも今年の粉を使った蕎麦でその美味しさを完成形に導きたいものです。
フツーはカマボコや薬味の青葱などを添えるものですが『桜海老のかき揚天ぷら』に限っては何も必要ありません、もうそのものズバリでオッケーなのです…と云うよりも、この方が新蕎麦や桜海老の風味をストレートに吸収できるものなのです。
あぁ美味いじゃないか、久しぶりだなあ桜海老。芳ばしくそして旨味に満ちたそのかき揚天が新蕎麦とガッチリ手を組んで至高の一杯に盛り上がっております。ずっと啜り続けたい…そんなキモチになる秋の味覚であります。
例の疫病の蔓延で近場の旅行でさえ自粛してきた関係で長らく伊豆長岡の温泉饅頭など食しておりませんでしたけれど、件のスーパーでは時折そうした名物を店頭に少量並べていることがありまして、その日は運よくラストワンをゲットすることができました。流石ちょいハイソ系ですな、デパ地下のようなサプライスをいただける唯一の存在です。
旬の素晴らしい新蕎麦をいただいた後にふんわり優しい風味と甘みの温泉饅頭…この黒柳さんのものを最後にいただいたのはいったい何年前のことでしょう。美味しい美味しいと食しつつ、あ~そろそろ旅に出かけたいなあ…とみょ~にしんみりしてしまう休日でありました。