■ 誘われる赤提灯もなく
なにせ哀愁のイナカ町ですからね、気の利いた居酒屋はおろか誘われる赤提灯なんてものも無いわけです。ちょいと一杯飲りたけりゃ自宅でセルフの慰労会、しかもロンリーナイトのソロプレイしか選択肢はないのですな。
思い出すのはちょうど大学生の頃に " 南こうせつとかぐや姫 " がよくメディアに登場してましてね、そのヒット曲に「赤ちょうちん」てのがあったわけですよ。マイナー曲調のクラいメロディーラインにビンボったらしい歌詞がのせてあるわけです。当時の若者の心情や哀愁そして青春の翳を歌ったものでありまして、まああの時代はソレがウケたんでしょうな。
その歌詞をよく聞くと、裸電球のアパートは列車が通ると揺れるくらいの安普請で、そんな所に暮らしているくせに赤ちょうちんにたぶらかされて「おでん」をたくさん買いました…なんて堂々と述べているわけです、そんなムダ遣いしていいのかい…経済的に困窮しているのなら自分で作らんかい。雨が続けばシゴトをサボってキャベツばかりをかじってた…とも供述していて、テメーの怠けグセをよくも堂々とカミングアウトするもんだよな、だから貯蓄もなくて安アパート暮らしから抜けられないんだよ、なんて田舎大学のボンビ学生だったエロおやぢ(当時はただのド助平ヤング)でさえそう思ったものです。
あれから40年…どこかで聞いたセリフですが、オカゲ様でなんとか並の生活をすることが出来るようになりまして、こうしたセルフ慰労会の晩酌タイムにもリッパな具材をセレクトした『おでん』に舌鼓を打てるようになりました。
今回は宮城県の塩釜市にある老舗練り物店の「おでんセット」に " 大根 " や " 茹で玉子 " をテメーで足して煮込みます。あぁジツに美味いですねえ…サスガに水産物が豊富な港町だけのことはあります、非常に高品質で美味。トナリ町のちょいハイソ系スーパーに行かないと購入出来ないのが口惜しいけれど、まあそのうちにもういちどゲットしてきましょうよ。
相棒は鳥取県の諏訪泉です、島根県じゃありませんからね鳥取県産です。前回の掲載時にはケアレスなカン違いで誤った記述をしてしまい、読者さんからキツいお叱りを頂戴しまして、相当に神経質になっているエロおやぢであります…もう間違えませんよ。
「きのこブーケ」のイラストが非常に美しいラベルです。そのデザインはちょいと他に類を見ない方向性を持っておりますが、お味の方もなかなかに個性的ではありまして、所謂伝統的な日本酒タイプですな。古典的な麹の香りと骨太な風味がしっかりと拡がるもので、普段いただいている静岡のお酒とは方向性が全く違う美味しさがあります。
ですからお味のほうは肴によって飲み分けしたくなるものですが、この芸術性のあるラベルはワインラベルのコレクターのようにブックにするか、瓶のままずっと飾っておきたくなる魅力があります。