■ 豚コマのニラもやし炒め
相棒も町中華仕様で
もちろんタイトル通りのお料理ですから特売していた豚コマをニラもやしで炒めただけのものですが、既にお気づきのように「キクラゲだって入ってるじゃん」なのであります。それだったら料理名は「豚コマのニラもやしキクラゲ炒め」とすべきではないのか、と強く主張される御方もいらっしゃると思います。ええ、確かにそうですね…でもちょっと長すぎませんか、なるべくシンプルなタイトルの方が目指す部分が伝わりやすいと思うのですけれど。
しかしここでこの論争を一層複雑にするのは、キクラゲが入っているか否かによってこのお料理のお味がすっかり変わってしまうことなのですよ。あくまで仮にですが、キクラゲが入っていないヴィジュアルを想像してみてください…なんともまあシマリがないと言いますか、平凡でつまらない炒め物でしかないような気がします。
キクラゲ自体には香りも殆どありませんし、他のキノコのように麗しい香りや豊かで複雑な旨味もありません。そこにあるのはただぶりぶりコリコリとした食感だけがキクラゲのアイデンティティを確立させている…と申し上げましても決して過言ではないと思うのですよ。
ほんとうにフシギな食材ですねキクラゲって。炒め物をはじめスープやサラダそして蒸し物など、他の食材と組み合わさり関り合うことによって、そのステータスが活き活きと実感できる…そんな稀有な存在かと思います。
一般に販売されているものは乾燥製品が殆どですが、近年は生キクラゲもよくメにするようになりました。本県では徳川家康殿で有名な久能山東照宮付近で栽培されており " 献上きくらげ " の名でスーパーの店頭に並んでおります。乾燥品も生もそれぞれに良さがありますので適宜使い分けて楽しんでおります。
さて中華料理の炒めものとくれば " オトナの義務教育 633 " などが真っ先に相棒候補に挙げられますが、今回は関東地区の町中華さんや居酒屋さんでお馴染みの「バイス」であります。赤紫色をしたサワヤカなサワーですよ、甘みは殆ど無くシソの香りがとても心地よく喉を通過してゆきます。ジツはこのサワー、初めていただきました。風味にイヤミな部分もなく気に入りました、お味の濃い中華料理には抜群の相性です。
因みに「バイス」の名は梅(バイ)酢(ス)から?とつい考えてしまいますが、それは風味付と色だけで違う理由と由来があるようです。製造元のコダマ飲料さんではずっと大田区の大森で製造を続け、その歴史は40年にも及ぶロングセラーなんですね。下町で愛される庶民のお味、なんか好きだなあ。