中華系のクセに黒を基調にした重厚なフンイキの和を気取ったヤローだぜ…というカンジのパッケージデザインは赤や黄色が多用されているコンビニのインスタント麺コーナーでは逆に威圧感があって目立つものだ。
ボクもその前に立った瞬間メに飛び込んできた“黒”の文字に思わず吸い寄せられた。『黒そば』とはいってもヒジキなどを練りこんだ日本蕎麦ではなく、いわゆる“混ぜそば”つまり中華の油そばなのだな。
カップ麺でその美味しさを完成に近づけるために麺にはソースを練り込み、味付けだけでなく色までを味方に引きずり込んでいる。
スープにもそんな努力が払われ黒胡麻の大量使用とラー油・花椒・胡麻油を加え、香りにまで豊かさを感じさせるデキは素晴らしい。
決して間違えてはいけないのは添付の小袋が“あとのせトッピング”の具材なのであって、フリーズドライの白髪葱・フライドガーリック・粗挽唐辛子などが主な成分だ。コレを出来上がった麺にパラパラとのせてやるとシャキシャキやカリカリといった心地よい食感を生み出し、次第にシンナリとしてゆく様子がリアルで楽しい。
麺の味付けは黒というイメージカラーに比してさほど強烈なものではないが、汁なし坦坦麺が持つ独特の香辛料使いがサエわたっていて本当に美味しい。このソースだけ別売にしてくれないかい…とついお願いしたくなるくらいによいデキだ。しかも想像していたより辛さは控えめで、辛い料理がニガテな方もストレスなく完食できそうなチューニングが絶妙。 スタンダードタイプでないカップ焼きそば(コレは焼そばとは謳っていないが)で久々に「美味い!」と推してもよい製品に出会った気がする。ただちょっとマニアックなフンイキがあるので短期決戦型の商品なのだろうが、ココはネームと意匠変えというインチキをやっても構わないから、ぜひレギュラーにラインナップしていただきたい。
◆エースコック株式会社
http://www.acecook.co.jp/