■ 三陸産銀鮭のムニエル
鮭の漁獲高と云えば圧倒テキに北海道だと思っておりました。2018年の政府統計(海面漁業生産統計調査)を見ますとその考えに間違いはなく、やはりシェア85.36%というダントツな数値が記載されています。
ところが名産地と称される村上市を擁する新潟県はシェア0.35%で第五位…あれれ~?な感じです。残りの約25%は岩手・青森・宮城・秋田・山形・福島の順に東北六県が占めておりまして、やはり千島海流やオホーツク海流といった寒流がその生態に重要な影響を与えていることが判ります。
先日購入してきた鮭は宮城県産の銀鮭、まるでノルウェイやチリから輸入されるサーモンのように脂のりもよく、漁獲高が少ない中でも銀鮭を養殖することによって食味と価格・鮮度を向上させる努力がなされているわけですね、生産者さんの心意気に拍手を送りたいと思います。
さてその銀鮭はどんなお料理にしていただきましょうかと考えたときに、せっかくの未冷凍・生切身なのですから「ムニエル」にするのもいいのでは…となるわけです。銀鮭はしっかり塩慣れさせて旨味を凝縮させた " 塩引き鮭 " が好みですが、たまには洋食のソフトでジューシイな味わいも欲しくなるってもんです。そして輸入サーモンではなく国内産の鮭を使うってところにも意味があります。
「meunière(ムニエル)」はフレンチの代表的な調理方法でかの地では舌ビラメなどがよく用いられるようですね。サーモンも大西洋や北海でたくさん漁獲されますから欧州でも日々の食卓に利用され、ムニエルも彼らの好物のようです。
塩コショウで下味をつけ小麦粉をまぶしたらバターの海へ…清らかで広々とした海で泳いでいたのに今度は灼熱地獄のバターの海かい!と鮭もタイへンでありますが、美味しくいただいてキッチリと成仏していただきましょうか。
あぁいいものですねえ、銀鮭のムニエル。天然モノに比べると若干生ヌルな風味ではありますけれど、なによりふんわりとした食感とバターと協業する海の滋味がたまらなく佳いわけです。キリッと冷やした白辛口スパークリングワインがより深い幸福へ導いてくれます。
これなら養殖銀鮭のフライもいいよなあ…なんて夢もふくらみます。