『こまい』は北海道に住んでいたころよく食した魚である。当時は何も考えずにそのナマエを呼んでいたけれど、どうやらその語源はアイヌ語のようなのね。
この魚を『かんかい』と呼ぶ釧路のヒトたちも多かった。そしてその『かんかい』もアイヌ語だという。
平仮名またはカタカナで表記するけれど“氷下魚”と表記してコマイと発音するのはアテ字だからでしょうな。生息域が氷の下なので割ったり穴を開けて漁獲することからこんな文字を用いているのだと思うのよ。
ムカシはネコもまたいで通り過ぎるほどの下魚とされ、干したものはコドモのおやつか貧乏人の食べ物と評価されていたけれど、コドモはそんなことは知ったこっちゃないからヨロコんで喰うのである。
アタマと内臓を取り除きカチカチになるまで寒風干ししたものが売られていて、石炭ストーブで炙っては少し柔らかくしたものを金槌でたたいてほぐし、更にもう一度ストーブの熱で炙ると柔らかくなって美味しかったし、香ばしさも増すのでもう止まらないのよね。
マヨネーズ&お醤油&一味唐辛子って最強のディップを知ったのも釧路で、人々の生活の知恵なんだと思う。あぁジツに美味いんだよ!
Nikon AF-S DX NIKKOR 1.8/35G @ Nikon D300
時代は変わり漁獲高の変化もあるのだろうか、今やすっかり高価な食べ物になってしまった『こまい』である。静岡で開催される北海道物産展などでは「うっそ〜?!」と叫びたくなるほどの価格が設定されていて、もはやコドモのおやつとしては有り得ないものに昇っていってしまったカンジね。
そして時代の変化は嗜好の変化も孕んでいるのであって、カチカチに干したものよりも“一夜干し”あるいは“生干し”に近いソフトなものが好まれるようになった。
先日哀愁のイナカ町の某ショッピングセンターで購入してきた『こまい』はご多分に漏れずそうした最新バージョンだったのね。まあいいさ、これだってその独特な風味や旨味がちゃんと残され生かされた食べ物なんだから。てっきり釧路産かと思ったらカーリング娘たちが住む北見に近いオホーツク海に面した網走の業者さんのものだったけど、まあお味はそう変わらないでしょ。
早速晩酌の肴にと炙ってみた。当然石炭ストーブなんてものは使用していないからフツーのガスオーブンで焼くわけなんだけど、生干しで水分量が少ないからコゲやすいことに神経を払って調理しなければならない。温まり表面に微かな焼色がつけばもうオッケー、手でむしるように開くと懐かしいあの身肉がスッキリと割れて現れるのである。
ああっ!美味いですねえ…タラの種族独特の歯ごたえ舌触りがあり、また個性的な風味が郷愁を誘うのよ。そういえば通学で使っていた当時の国鉄列車には石炭のダルマストーブが各車両に設置されていて、乗り込むと同時にこの干しコマイやスルメイカをそれで焼くニオイにノックアウトされた思い出がある。今じゃそんなことしたら大ヒンシュクだろうなあ、ホントに時代は変わりました。
今年も咲いてくれたシャガ
しっかり根付いたようで安心してよさそうです
ちょっとアジアンテイストなエキゾチックさで
「紗雅」なんてアテ字をしてみたくなります
Nikon Ai-S Micro-NIKKOR 4/105 @ SONY α7
元ルーさん
おはようございます!
逆に「こまい」も「かんかい」も「姫タラ」と一緒だと思ってるヒトもおられるようですが、「姫タラ」だけは別種でしてね…。
まあお味はちょっと似てますけど(´▽`*)アハハ