海産物、とりわけ鮭や帆立貝などは北海道というイメージが強い。事実そうなのだが“青森”もナカナカヤルのである、というよりホタテの大産地なのだ。
その青森産ホタテ貝柱が届いた。刺身で食べられる鮮度の高いものを冷凍してあり「たまには洋風のお刺身もいいなぁ」とマリネにしてみる。
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キホンのフレンチ・ドレッシングを作り、玉ネギのすりおろしと粒マスタードを加えたものでサイの目カットのホタテをマリネする。
ホタテは横にスライスしてもヨイのだが、香り・甘味・しっかりとした弾力を楽しみたいという方はタテに四つ割にしなさい。
カッコばかりのフレンチやイタリアンの料理人はこのことを知らぬ者が多いのだ。
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二種類のソースは上記のFドレに錬わさびとパプリカPで作った。えぃっと、残りもののオクラもさっと茹でてスライス。ホントに偶然なのだがこの脇役がホタテのマリネに与えた影響は甚大であったのだ。
皿の上でソースと混ぜてホタテにからめると、まるで山かけのように濃厚なコロモとなり口の中で貝柱の旨味と融合する。
まさに美食の秘宝館にふさわしい出来となったのである。
気の毒だったのは鮭のムニエルで本来は主役だったはずなのだが、ポッと出の新人ホタテに食われてお義理のライトしか照ててもらえず、申し訳ない気分にさえなってしまった。
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コンテ・ド・グラモン
ACボルドー2005 白ED
ホタテの到着を合図に冷蔵庫への出向を命ずる。マリネの完成とともに栓を開けられグラスに注がれた淡黄緑色の液体は、柑橘系の酸味と香りをまとうエレガントな雰囲気。
やはりというべきか魚介系の料理には申し分のない才能を発揮する白ワインだったが、フルーティーさの中のかすかなスパイス香を出し惜しみするタイプで、会話にはかなりの教養が必要。
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透明感のあるその音色はビル・エヴァンスにも似て知的な旋律を奏でる。
共演するミュージシャンによって表情は変わるかもしれないが、できれば同じセッティングで演奏させた方がこのワインの才能がよく理解できると思う。