有給休暇と『しめさば』の関係

白いゴハンのオカズと云うよりは酒の肴テキなイメージの強い『しめさば』である。呑み助としては当然好物なのであって、ヘタな刺身で失敗するよりハズレ確率の低い〆鯖には心底感謝している。
そんな〆鯖も最近は真空パック冷凍という強力な保存方法で「アタシが欲しくなったらいつでもいいのよ、うっふ〜ん♪」みたいに冷凍庫でスタンバイしてくれていて、ズボラなエロおやぢはニマニマしてしまうのだ。
ちょっと蒸し暑いこの時期などサッパリとしていながらまったり脂ののったコクのあるお味を楽しめるこいつは冷酒にビールにいい相棒で、先日はたっぷりのオニオンスライスと海藻サラダを添えていただいてみたがコレがまたシビレるくらい美味かった。近海の青魚なのでドコでも漁獲されるが、従来静岡で一番多かった三陸沖の製品が震災被害であまり入ってこなくなったせいか西日本の製品をよくメにするようになり、ドレドレと購入してみた次第である。

三陸なら石巻に水揚げされる金華サバが有名だが西の方だと大分市佐賀関の関サバ(せきさば)、この二つが鯖界のブランドもの東西両横綱といったところか。アトは若狭や玄界灘で漁獲されるサバも定評があって、今回購入してみた長崎五島列島産もツウは必ずメをつけているというひと品だ。なにせ冷凍である、様々な遠隔地のものを楽しめるといのは有難いではないか、ムカシは近場のものだけだったからねえ。
   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
都内に勤務していたころ行きつけの居酒屋でいつものように〆鯖を食したことがあった。店主の手造りなので新鮮で美味く、いいキブンで帰宅してはさて寝ようかとヨコになったが何だか胃の具合がいつもと違っていて寝付けない。そのうちそのミョ〜な感覚は激痛に変ってベッドの上で七転八倒という事態に陥ったのである。到底眠ることなど出来ずに結局朝を迎え、そのまま根性でカイシャに出勤し上司に「今日は今から病院へ行くので有給休暇をとらせて下さい」と多分真っ青なカオで申し出ては出社後3分で早退した。
病院でワケを話すと「サバの寄生虫アニサキスの可能性が高いね」とのことでノドに麻酔をされてブッ太い胃カメラを突っ込まれた。昨晩から続く激しい痛みに加え、麻酔をしているとはいえ異物挿入されるオエは地獄の仕打ちである。
若い医師は「おぉ〜っ!5匹もいる、これは珍しい」と言って胃カメラ画像の撮影などしているではないか。サッサと取らんかい、このバカ野郎!しかもカメラの先端にはピンセットは一つしか付いておらず、5匹除去すると云うことは5回挿入抜去されるということなのであって、その度に激痛&激オエなのである。おいっ、オレに何の罪があると言うんだい…
オマケに「極めて稀な例なので学会で発表するから」とか言ってその若い医師は寄生虫除去後の胃壁まで撮影する、つまりプラスワンの計6回ヤラレてしまったのであって、痛みはようやく消えたとはいえ病院を出たボクはもう放心状態なのであった。ついでなので翌日も有給休暇を取ってカイシャは休んだ。
しかしよく考えるとコッチは痛くて必死だったからナニを言われてもハイハイとしか答えなかったが、学会発表のデータ提供はアレだけ苦しい思いをさせられたボクなんだから治療費を支払うなんてとんでもねーハナシで、逆に謝礼をいただかなくてはスジが通らないよなあ、と半分ズル休みのベッドの中でボンヤリ考えた。
そんなコトがあって数年間はコワくて〆鯖を食すことが出来なかったが、な〜にやっぱりあの美味さを思い出すと欲望に抗しきれなくなった。それでも病院でのアノ地獄絵図は〆鯖を食す度に脳裏に蘇る。あぁでも有給休暇っていいなあ…




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Sora



9:42AM, July 22. 2011.