野沢菜むかし漬で『しらすゴハン』

色も鮮やかなフツーの野沢菜漬とは違い醤油ベースで漬け込んだ“むかし漬”は渋い色合いで、逆にボクは食欲をソソられる。
塩漬けが発酵して古漬けとなったものが本来の姿で旨みや歯触りは次元の違うハナシだが、ちょうど新漬と古漬のイイトコドリのようなこの“むかし漬”は信州長野の知恵と工夫から生まれた新人漬物だ。


スーパーやデパ地下では野沢菜に様々なものを組み合わせた漬物を販売していて、たとえば山芋入りとかワサビ入りであるなど食感の妙や香りの取り合わせを楽しむアイデアが活かされていて飽きるコトはない。
しかし結局帰るトコロはフツーの野沢菜漬なのであり、ゴハン茶碗の上ではソロよしデュエットよしの野沢菜劇場を自分でプロデュースできるコーフンも味わえる。


以前に諏訪湖畔にある蕎麦屋で知った“野沢菜シラスご飯”はワサビ醤油をチョイとかけて食すのがとても美味しく、朝食はもちろん酒席のシメなどにも誠にグーな一膳で、質のよい茹でシラスや佐賀の高級海苔などをわざわざチョイスしてはゼイタクを楽しむコトもある。
ところがこの“むかし漬”は程良い醤油味を予め含んでいるので、炊きたての白ゴハンの上に刻んで乗せてはモミ海苔と茹でシラスをどっさり合わせるだけでアグアグと快楽に溺れるコトが出来るのだ。
ふわりと茹であげられたシラスは申し分ないが、“上干”と言われる少しソフトに仕上げたシラス干しも噛みしめるほど旨みが増し、野沢菜むかし漬とのコラボレーションは比類なき美食の世界を生み出すのである。








Sora

4:56AM, July 16. 2009.