いきなり完結編『月見だんご』

すっかり日も短くなり薄暮が訪れるのが早くなってきた。
中秋の名月を楽しもうと縁台に腰掛け、ダンゴを供える。ちょうど月が東の空に輝き始め、深紫の闇にぼんやりと黄金色の光を照射する。
お茶とだんごか… 今日くらい酒はやめておこう、そんなキモチになった。



ってね、全くのウソっぱちである。
運よく月見が出来た一昨日の夜はヨッパで「甘いだんごなんてもー喰えねえよ」とサッサと寝てしまったし、昨晩は雨で最初から諦めていたからいつものようにやはりヨッパなのであって、風流に縁台で月見…などと云う世界には縁もユカリちゃんもいないボクなのである。
まぁソレでもいちおー“お月見”のマネゴトでもしようかと『月見積だんご』だけは購入しておいた。なんでも自作するボクにしては珍しく既製品、ソレも三方台に乗ったリッパなヤツだ…と言いたいところだがコレもタネ明かしすると冷凍食品で、発泡スチロールのフェイク杉板製三方台にピラミッド型透明カバーのついた風情もヘッタクレもない商品なのだな。

元々は平安時代の貴族が中国の故事になぞらえて月見を始めたワケであるが、江戸時代あたりから庶民もそのマネゴトをするようになったと云う。本来は月の満ち欠けで農作業の時期を判定していたことから月に対する感謝の心や豊作を祈願してのコトなのであって、団子と共に旬の食べ物などをお供えしてその気持ちを表すという習慣なのだ。
そんな資料を調べていると面白い風習がある地域があるのを知った。それは浜松市の一部では「お月見泥棒」といって、お供えものを子どもたちが盗んで回る…という健全な青少年の育成教育上好ましくない行為が続けられていると云うのだ。う〜む、ソレはマズいではないか…
と、ご心配は無用だ。ちゃんと「お月見くださ〜い♪」とやってくるコドモのために各家庭では予め団子などの菓子を準備しておく、ということでタチの悪いハナシではなかったのである。
ところでこの冷凍月見だんご、けっこう美味かったのよ。もっちり風味の良いモチとソレに包まれた小豆粒あんの質も高く、ちょっとココロゆさぶる美味しさは実際に月見などぜずとも満足のゆく結末なのである。




☆ でも十五夜でお月見だんごを食べたって何年ぶりかな〜(笑)
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