■ イカの煮付け
記録的な不漁の中で
本来ならば夏イカ(主にスルメイカ)のシーズンなので様々なお料理にして楽しむべき時なのでありますが、ここ十年以上続いているイカの不漁は今年特に酷い模様で、函館を中心とした漁模様は壊滅的な状況にあると聞き及んでおります。
昔は釧路の沖合でも夜の帳の中を進むイカ漁船の漁火がよく見えたもので、コドモ心にもその美しさを理解してはうっとりと眺めていたものです。今はそうしたものはすっかり廃れてしまい、海面温度の温暖化と共に暖海性の魚種に切り換えられている北国の漁業事情であります。

それでもそうした記録的な不漁の中でも日本海や三陸沖ではソコソコの水揚げがあるらしく、こうして静岡でもスーパーの鮮魚コーナーにその姿を確認することが出来ます。でも以前に比べたらずいぶん魚体が小さくなったものだよなあ…これじゃ加熱したら小さくなって情けないお料理しか期待できないじゃないか。
しかし嗚呼あの柔らかな『イカの煮付け』のことを思ったら、もう矢も楯も堪らなくなってカゴに入れてしまうエロおやぢであります。濃いめの醤油出汁でサッと煮て、ぷりっぷりの弾力と柔らかで滑らかな舌触りを楽しむ…食卓で冷やの日本酒をグビリと飲りながらニヤつくテメーを想像すると、その小振りなイカでさえ愛おしく思えてくるものなのですよ。

予想通りイカは小さく縮んでしまいましたけれど、記憶の中で脈々と生き続けているあの食味と食感はしっかりここにあります。あぁ美味いじゃないか、イカを醤油で煮た香りってのはもう誰もがココロの奥に秘めた家庭のお味であり、かつての日本人ならば幼き日々の想い出がフラッシュバックしてくるような泣き所でもあるはずです。
いい、ジツにいい。ワタはもちろんですが、これに仔が入っていたらなあ…などとつい無いものネダリをしてしまうところが哀れでもあります。いつの日か昔食したようなリッパなサイズが食卓に上がる日は来るのでしょうか。

食中は日本酒でまったりいただきましたけれど、食後のリラックスタイムにはアイリッシュ・ウイスキーをソーダ割りにしていただくのもオツなものです。
亡き父が好きだったこのウイスキーは、年に一度くらいの割合でこうしたアートラベルで少量が供給されます。まあナカミは一緒なのですけれど、毎年異なる趣向を凝らした美しいラベルが楽しみで、見つければたいてい購入してしまいますね。今となっては過去のラベルを剥がして保存しておけばよかった、せめてデジタルデータ化してでも…と思っても後の祭りってやつですな。まあエロおやぢの人生なんて全てそんなもんです。
■ 文月の庭風景 ミズヒキソウの惑星群
今年もミズヒキソウが紅い花を枝先に並べました
いつも流星の航跡みたいだなあとか
銀河系或いは小宇宙であるかのような印象を受けますが
今年は惑星群ってカンジで面白い画になりました
