サザエの塩茹で

スモークサーモンを買いに行ったスーパーの鮮魚コーナーではサザエが特売になっていた。いつも見る度に「あ〜ツボ焼喰いてーなぁ」と思うものの、食べて美味しい大きなモノはなかなかに高価でつい出したテも引っ込んでしまうのである。


大小2ケの組み合わせから比較的小型の5ケ入りなど様々なパックが用意されていたが、ボクが選んだのは直径が6〜7cmのお手頃サイズが3ケパックされているもので¥315は晩酌のお伴に丁度良い価格だ。買い物カゴの中に放り込まれたサザエはすでに醤油のコゲる匂いとと素晴らしい磯の香りを発しつつ程良く焼きあがった状態にトランスしているエロオおやぢの脳ミソなのである。
「ビールはバッチリ冷やしてあるしさ♪」
その日はシュパーゲルのサーモン巻なのでサザエの出番は翌日となってしまうのはヨクボーの葛藤を生じさせ、順番を入れ替えようかとも一瞬考えてしまう程お楽しみな肴なのだ。
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ムカシ父親が御前崎の料理屋で食べさせてくれたサザエの壺焼は美味かったなぁ…。海の家に毛が生えたような店だったがちょっと甘めの醤油タレで焼いてあって、あの頃ビールの味なんぞを知っていたらトンデモナイことになってしまっていたかも知れない。かわいくゴハンと味噌汁とおでんなどを食べて帰ってきた記憶がある。
そんな“思い出のツボ焼”にするつもりで購入してきたものだったが、冷蔵庫から出した途端に気が変わった。数日前にテレビで観たグルメ番組ではドコカの漁村で婦人部の御方が鯛飯などを調理してはふるまっていて、その脇役として出されていた煮サザエをおバカタレントが旨そうに喰っていたのを思い出したからだ。
ウ〜ム、香ばしい壺焼もいーけどシンプルな塩茹でも捨てがたい。特に新鮮なものほど磯の香りが強いし、ソレには茹でたモノが一番じゃん…
怖ろしいほどガツンと苦みの効いたワタは海の甘みを伴って口に広がる。まったりとした旨みがビールだけでなく冷やした日本酒なども呼んでいるようで、抑制しなければならない望みには困ってしまうのだな。
そして次にやってくる身の弾力、もっちりとした反発が小さな貝では成し得ない美味しさを生む。産卵前の初夏が旬だと云うサザエをしっかり楽しんだ昨晩なのである。



友人がプレゼントしてくれたビールは“あのネズミランド”に隣接する“イクスピアリ”なる複合施設内にある地ビール工房で製造されているものだ。
「ハーヴェスト・ムーン」というブランドで醸造するビールは今年のジャパン・アジア・ビアカップで二つのメダルを獲得し、定番の5種類の他に季節限定も登場する気鋭のブリュワリーである。イナカ暮らしで地元である富士宮地ビール以外には普段は縁はないと投げやりなキモチになっていたので大変うれしくいただいた。
爽やかな苦みと香りが持ち前のピルスナーで雑味の少ない滑らかなのど越しは洗練された都会の味だ。フシギなもので日本酒ばかりでなくビールもその土地の食べ物に合ったテイストに仕上がってゆくようで、コレは各地の地ビールを試す毎に実感するコトなのである。
このビールも畜肉系ばかりでなく海産物にもフォーカスを当てているようで、イワシの“なめろう”や“サンガ焼”、そして“焼ハマグリ”といった肴もいい相棒になりそうな逸品なのである。


舞浜地ビール工房
http://www.ikspiari.co.jp/harvestmoon/









今朝の富士山
予報は“曇り”ですが、さてどんなお天気になりますか…

2009.06.13. 04:35 @Mannohara, Fujinomiya-City