年末年始やたら美食カオス酔夢譚《忘年会編》

庭の柚子がまだ青い時期に新秋刀魚がちょうどやってくるのであって、そいつを搾って秋刀魚の塩焼にかけてやるのが当家の流儀なのである。旬の出会いとはジツによく出来ているわけで神様がセットしてくれたその組み合わせに(あぁシアワセ…)と感謝するのである。

そんな柚子も師走に入ればすっかり黄色く色づいて収穫を待っているのだけれど、昨年は(そのうち、そのうち)と先送りしているうちに年が明けてしまい結局元旦にソレをジッコーしたというおバカなエロおやぢだ。
その隣に植えてあるのが柏の木で、例年はただカレカレになって落ちてゆく葉が昨年は見事な三原色紅葉になってくれて思わずカメラを向けていたのね。そしてすっかり冷たくなった風を吸い込みながらナゼか(忘年会ってしばらくやってないよなあ…)とぽつりと考えていた。

ところが某シゴトの都合で偶然にも念願の忘年会を催すことが出来たのは師走に入って間もないころだった。なんでおチバまで行って忘年会なのかはシークレットだけれど、まあ人生にはいろいろあるってことなのだよ。
そのお店は稲毛海岸駅のすぐ近くだけれどビルの二階にあるのでちょっと通りかかっただけでは気が付かない…つまり気が向いてついふらりというカンジが入店動機の項目として存在しないのである。
ホントはこの日は“商店街にムカシからある立ち飲み居酒屋”みたいなお店を探してウロウロしていたのだけれど、新興勢力が激しいチバの住宅地では大手流通系のショッピングセンターやチェーン展開しているつまらない居酒屋しかないのね。諦めかけて(「養老乃瀧」なんて大学生時代以来だよなあ、懐かしくていいじゃん)と安易な妥協をしかかっていた時にふと以前に利用したこのお店を思い出したのである。
5時の開店を入口で待って席に案内されれば何年か前にこのお店のカウンターで食した釧路産新秋刀魚の刺身や塩焼のことが蘇ってくるのであった。

前菜がわりに注文したのは『鱈の白子ポン酢』である。濃厚でクリーミィな鱈の白子は鍋に入れて食すことを好む向きが多いけれど、新鮮なものならばこうして生でイケるのね、そしてまたポン酢がよく合うのだな。そういえば京都に行ったときに料理屋で食したコレは「雲子」と書いてあって(ウンコではなくクモコね)何のことだか解らなかった青年時代のボクはお店の大将に訊いたことを憶えている。
このお店で評判の『おまかせ刺身盛合せ』みたいな料理もお願いした。商品名は正確に言うと違うかもしれないが、まあだいたいそんなカンジでしょ。これが今回も大当りなのである。
きっと市場でしっかりとした地魚中心に仕入れてくるのだろう、どのアイテムも新鮮この上ない。だいたい高級魚のキンメがこうした盛合せにフィーチャーされている事自体珍しいことなのであって、それこそ料理人や経営者の目利きがスルドく具現化されているのである。

キンメ鯛、近海アジ、アヲリイカ、マグロ、トロサーモン、寒ブリ…全て三切れづつ乗っていたから2〜3人前という表記に偽りはないし、コレでお値段が¥1200ほどってところが素晴らしいではないか。
そしてもうひとつ感心したことはお刺身の薬味が其々によってワサビやおろし生姜が添えられている分だけの醤油小皿が運ばれてきたことなのである。よくあることだけど、役割の違う薬味や香辛料が小皿の中で混ざってしまって肝心なお刺身を殺してしまってる…ってこと。

テマヒマはかかるけどそうした心遣いがプロフェッショナルなお店なのだと思う。どんどん良い印象だけが積み重なってゆくのだよ。
それはこうして『樽酒』を注文すれば真新しい木の枡に注いで持ってきてくれることや紅塩をその枡酒に別皿で添えてよこすところなど、本当にお客さんを大切にしていることがよく判る。

「料理が美味くて安ければクチコミで客は増える」という大いなるカン違いをしているヒトもよくいるようだが、今の世の中は「美味いこと」も「安いこと」も当たり前なのよ。案の定このお店は特別そんなに安くはないのにいつも満席になっているし、ネット上の評判も大変に結構なものである。
ナニが違うのかと言えば、それはこうした心遣いと注文した料理の待機時間が短かく食べたいと思っているタイミングをハズしていないこと、そして酒の注文に即応えていることなのだと思う。てか断言してもいい、繁盛店とは「客の時空感覚を捉えられるお店」のことなのだと。

あぁなんだか吠えちまったなあ、まあ小難しいハナシはよし子ちゃんにして美味しい料理のことを語ろうではないか。
お店の看板つまりウリは炭火焼酒肴なのであって評判のよい海鮮料理もさることながらやはり“焼き物”が出色の出来栄えなのよ。ヤキトリの美味いお店はいくつも知っているがけど、このお店はArt-Foodsテキにその三本指に堂々と入っているのね。東の横綱と呼んでもいい。
ネギやシイタケの塩焼串には辛子味噌が皿に添えてあったり、ぼんじりや正肉には柚子胡椒がそっと脇役につけてあったりと大技小技を駆使して食す者を飽きさせない工夫が満載だ。それにしてもこの『ぼんじり』の美味しさは絶品だ、今まで食した中でピカイチである。近くだったら足繁く通ってこの幸福を年がら年中享受したいところだが、まあ滅多に食べられないところがまたもどかしくもあってヨケーに美味しく感じさせるのかもね。昔から“空腹は最良のコック”という諺があってそれに近い感覚かも知れない、なにもハラがへっていることだけが美味しく感じる要素ではないということを悟るべきなのよ。

さてけっこー飲み食いしてハラもいっぱいだったけれど、メニューブックに『和牛スジ肉の煮込み』なんてちょ〜魅力テキ献立を見つけてしまった以上そうカンタンに引き下がれるものではない。
果たしてそのお味はエクセレント!酒の肴には絶好&ゴハンのお供もこなせるスーパースターじゃないのかな。コレは季節を問わずに楽しめる料理だろうから次回もご指名は確実だ。

ひょんなことから再訪しての私的忘年会だったけど、久しぶりに充実した時間を過ごせた居酒屋さん。提供して下さった方に感謝のキモチを抱かせてくれるお店なんてそうあるものではない。いいお店ですよ…と解るヒトだけに教えてあげたい隠れ家テキ存在感もある。
前回は秋…今回は冬だから次回は春か夏にすればまた違ったカオを見せてくれるに違いない。う〜んでも早くまた行きたい!ってのが正直なところなのである。いやいや、忘れちゃイケないなあ…“空腹は最良のコック”ってね。


炭火焼酒肴 じゃむ
http://r.gnavi.co.jp/a734300/
千葉県千葉市美浜区高洲3-2-16 高洲ラピュタビル2F
TEL=043-270-3308
ACT=17:00-23:30 月曜定休(祝日の場合は翌日休)




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チャッピ〜☆彡さん
こんにちは!
マスで飲むとマスマス美味しく感じますマスね…ですか(´▽`*)アハハ  まるで飲食店のカガミみたいなお店でしたね、苦労したと言うより引き寄せられるように入って行ったワケはなにかあったのでしょう!
次回は「春」ねえ…そう、毎年「春」は巡ってきますから(≧∇≦)b