■ 新筍の土佐煮
旬の出会い
苺のシーズンも終わりだと言いながら、廉売していた苺パックに惹かれてなんだかまたカゴに入れてしまいました。まあいいよね、このお値段なら罪悪感に苛まれることもなさそうだし、ほいほいとつまんでしまうことにしましょうか。

サスガにこの時期ともなりますと甘みや香りも若干減退しているものでして、旬真っ盛りの頃にいただいたものに比べますと、その感動も色褪せているように感ずるものです。ヒトと云う生き物はカッテなもので、テメーの欲望がある程度満足していると次々に要求の上塗りをするものです。
まあ今年は苺を食べ過ぎましたね、パフェやらプリアラに始まってパンケーキとの盛り合せなど、もうヤリ放題ってカンジでしたから悔いはありません。

さてちょっとしたおやつに苺をつまんだ過日、いつもの農民市場で新筍の茹でたものを購入してきました。昔は皮に包まれた掘りたて筍を買ってきてはセッセと茹でたものですが、考えてもみますと農家さんは " 掘りたての筍をその場で茹でて " 農民市場に納入しているので、鮮度とその品質はテメーがやるよりも圧倒テキに上をいってるわけですよ。光熱費のコストやテマヒマを考えてもボイル済新筍を購入したほうが良いに決まってますね。
折しも庭には山椒の若葉がわんさか噴出しておりまして取り放題、旬の出会いとはよく言ったもので自然の摂理には感心するばかりであります。

筍の煮物はカツヲ昆布出汁ではんなり薄味に仕上げるのが上品でよいものですが、今年はやや濃いめ…と云っても僅かなものですが…に仕立て、しかもそこに追いカツヲの削り節で更にコクと旨味を加えてやるという反則スレスレのプレイで勝負に出るわけです。
ちょいとお味見をしてみればしっかり濃密な風味が新筍にシミていて、おぉ~コレが土佐煮の醍醐味だぜ!と自画自賛したくなる美味しさです。さあさあ、あとは酒の準備だけだな…早く一杯飲りてえなぁとそわそわしてしまう厨房の片隅であります。

塩蔵三陸ワカメを戻したものをさっと煮汁にくぐらせ、筍と共に盛り付けます。もちろん例の山椒新葉を天盛りにしてその素晴らしい香りも堪能しましょうね。
あぁ春の山野のお味ですよ、柔らかな甘みと香り…そして軽やかにサクっとくる歯応え…もう堪りませんね。冷やの日本酒をキュッとクチに含んではその旨味を存分に愉しむ、こんなゼイタクな時間はありません。少し汗ばむくらいに気温も上昇したこの日は、副菜に据えた冷奴がまたヒンヤリ心地よく感ずるものです。
ボケボケしていると初夏がまもなくやってきます。美味しいものをいただいたら少しだけ精神を引き締めて、次のステップに向かうことにしましょう。
■ 卯月の庭風景 ジャーマンアイリス
今年のジャーマンアイリスはとても優秀で花をたくさん咲かせてくれましたけれど
そのスペースってのは柚子の樹の真下なんですね
いやベツに構いはしないんですけれど
ちょっと撮影しずらい…てのが唯一の難点でして

それでも雨上がりの朝には美しい姿を見せてくれます
キラキラと雨粒を纏い
白い衣装に多面プリズムのような華やかさ
こんな姿が見られるのもあと僅かです
